いつも他人に合わせて疲れてしまうあなたへ:自分軸で生きるためのヒント
いつも他人に合わせて疲れてしまう感覚はありませんか?
私たちは生きていく中で、さまざまな人との関わりを持ちます。家族、友人、同僚、あるいは道ですれ違う人まで、私たちは常に他者の存在を意識しています。そして、その中で「他人に合わせすぎて疲れてしまう」「自分の意見を言えず後悔する」「断りきれずに引き受けてしまう」といった経験をされている方もいらっしゃるかもしれません。
こうした「他人軸」で生きてしまうパターンは、自分自身の本音や望みよりも、他者からの評価や期待を優先してしまう状態です。このパターンが強すぎると、自分の本当にやりたいことが分からなくなったり、常に気を張って疲弊してしまったり、自己肯定感がさらに低下してしまうことがあります。
もしあなたが、このような「他人軸」で生きてしまう自分に気づき、生きづらさを感じているのであれば、その背景には幼少期からの経験、特に親との関係性が影響している可能性があります。親の期待に応えなければ愛されない、自分の意見を言うと否定される、といった経験を繰り返すことで、他者の顔色を伺うことが当たり前になってしまうケースがあるからです。
この記事では、なぜ他人軸で生きてしまうのか、そして、他人軸から「自分軸」へと少しずつ重心を移していくためのヒントと具体的な練習方法をご紹介します。
なぜ「他人軸」になってしまうのでしょうか?
他人軸で生きてしまう背景には、いくつかの心理的なメカニズムが考えられます。特に、幼少期に親との関係性で満たされなかった経験や、安全・安心な環境が十分に得られなかった経験が影響することがあります。
例えば、以下のような経験は、他人軸を形成する一因となり得ます。
- 親の期待に応えなければ評価されない、愛されないと感じていた:自分の価値が、親の望む自分でいることにかかっていると感じて育つと、他者の期待に応えようとすることが当たり前になります。
- 自分の感情や意見を否定された、無視された経験:自分の内面を表現しても受け入れられない、あるいは罰せられる経験があると、自分の本音を抑え込み、周囲に合わせる方が安全だと学習します。
- 過剰な責任感や義務感:親の機嫌を取ったり、家庭内の問題を自分が解決しようとしたりすることで、他者の感情や状況に過剰な責任を感じやすくなります。
- 見捨てられ不安:他者から認められないと、関係性が壊れてしまうのではないかという強い不安があると、必死に相手に合わせて繋ぎ止めようとします。
こうした経験を通して、私たちは無意識のうちに「他者に合わせることで安全が確保される」「他者の期待に応えることで自分の価値が保たれる」という信念を形成してしまうことがあります。
他人軸で生きることの影響
他人軸で生きることは、一時的には他者との衝突を避けるのに役立つかもしれません。しかし、長期的には様々な生きづらさにつながります。
- 自分の本音が分からなくなる:常に他者の意見や感情を優先するため、自分が本当はどうしたいのか、何を感じているのかが曖昧になります。
- 心身の疲弊:常に他者に合わせるために気を遣い続けることは、想像以上にエネルギーを消耗します。
- 人間関係での不満やストレス:自分の気持ちを伝えられないことで、関係性が表面的になったり、不満が溜まって爆発してしまったりすることがあります。
- 自己肯定感の低下:他者からの評価に左右されるため、安定した自己肯定感を築きにくくなります。また、他人軸で行動した結果に不満が残ると、さらに自分を責めてしまうこともあります。
- 後悔と自己否定:自分の本意ではない選択をしたことへの後悔や、そうしてしまう自分自身への否定感が募ります。
自分軸を見つけるための練習
他人軸から自分軸へとシフトすることは、一朝一夕にできるものではありません。長年のパターンを変えるには、意識的な練習と、自分自身への根気強い優しさが必要です。ここでは、自分軸を見つけ、育んでいくための具体的な練習方法をいくつかご紹介します。
練習1:自分の感情に気づく練習
他人軸で生きていると、自分の感情を無視したり、他者の感情と混同したりしがちです。「今、自分は何を感じているのだろう?」と立ち止まって問いかける練習を始めましょう。 例えば、「何だかモヤモヤするな」「少しイライラしているかもしれない」「これは嬉しい気持ちだな」など、小さな感情の動きに気づくことから始めます。感情に良い悪いの判断を加えず、ただ「そう感じているんだな」と受け止める練習をしてみてください。
練習2:自分の本音を探る練習
感情に気づくことと並行して、「本当は、自分はどうしたいのだろう?」と自分の内側に問いかける練習をします。他者がどう思うか、どう反応するかは一旦脇に置きます。 例えば、何か選択を迫られた時に、「Aを選ぶと〇〇さんが喜ぶだろうけど、自分自身は△△の方が気が向くな」のように、他者の期待と自分の本音を分けて考えてみます。最初は本音がよく分からないかもしれませんが、問いかけ続けることで少しずつ見えてくることがあります。
練習3:小さな選択を自分で決める練習
日常生活の中で、些細なことから自分で決める練習をします。今日のランチは何を食べたいか、休みの日に何をして過ごしたいか、着る服はどれにするかなど、他者の意見や評価を気にせずに、自分の「好き」や「やりたい」を基準に選んでみます。小さな成功体験を積み重ねることが大切です。
練習4:他人の期待と自分の望みを区別する練習
他者から何かを頼まれたり、アドバイスを受けたりしたときに、「これは相手が私に期待していることだな」「これは相手の望みだな」と、自分の望みや感情と切り離して認識する練習をします。その上で、「自分自身はそれに応えたいか?」「応えることは自分にとって負担にならないか?」と問いかけます。
練習5:NOと言う練習(境界線の一部)
他人の期待に応えすぎないためには、時に断ることも必要です。断ることに強い罪悪感や恐怖を感じる場合は、まず小さな「NO」から試してみましょう。 例えば、気が進まない誘いをきっぱり断るのではなく、「今日は少し難しいのですが、また別の機会に」のように、柔らかい表現で断る練習をします。断れなかったとしても、自分を責める必要はありません。「断るのが難しかったな」と客観的に振り返ることが次の機会に繋がります。断る練習は、他者との間に健全な境界線を引く練習でもあります。
練習6:自分を肯定的に捉え直す練習
他人軸で生きていると、自分の価値を他者からの評価に委ねてしまいがちです。自分軸を育むためには、他者からの評価に関わらず、自分自身の存在そのものを肯定的に捉え直す練習が必要です。 完璧ではない自分、失敗することもある自分を受け入れ、「頑張っているな」「よくやっているな」と労いの言葉をかけてみましょう。他者からの承認を待つのではなく、自分で自分を承認する練習です。
まとめ:自分らしい人生への一歩を踏み出す
いつも他人に合わせて疲れてしまう状態から抜け出し、自分軸で生きることは、すぐに劇的な変化が起こるような簡単な道のりではないかもしれません。長年染み付いたパターンを変えるには、時間と根気が必要です。
しかし、自分の感情に気づき、自分の本音を探り、小さなことから自分で選択していく練習を続けることで、少しずつ自分自身の感覚を取り戻し、他人軸から自分軸へと重心を移していくことは可能です。
これらの練習を通して、あなたはきっと、他者の期待に応えることだけではない、自分自身の価値や、自分らしい選択をすることの心地よさに気づくことができるでしょう。
焦る必要はありません。まずは今日から、この記事で紹介した練習の中から一つ、ピンとくるものを選んで、試してみてください。自分軸で生きる練習は、自分自身の人生を自分自身の手で創り上げていくための、希望に満ちた一歩となるはずです。
自分らしい人生を歩むための練習は、ここから始まります。